学校での専門用語のひと通りの勉強が終わると、実習先に行くことになります。10年も前の話ですが、私の体験談とどうやって最初の勤務先を見つけたのか、その後どんなところで働いたのかをお話しします。
実習 Internship
学校での講習が終わりに近くなると、各自で実習先を探します。私はテキサス在住です。テキサスはメキシコとの国境に接しているためスペイン語と英語のバイリンガルが重宝されます。
残念ながら私は、日本語と英語のみ。スペイン語とのバイリンガルを求めているところには申込ません。しかし、ダラス近郊には日本企業が進出しているので小さな日本人コミュニティが存在します。
そこで、日本人がよく利用するクリニックなら私でも実習生としていけるのではないか思いつき、無料のコミュニティ情報誌から歯科医院を探し出します。そして、数カ所に電話をして直接自分の履歴書を持ち込みました。
ラッキーなことに、そのうちの1カ所と面接にこぎつけました。その日本人歯科医は60代後半の人です。もうすぐ引退するので、知り合いの若いしかいにクリニックを譲る予定とのこと。
そこでの問題は患者さんの多くは日本人なのに、後任の先生は英語と中国語しか話さない。だから日本人を探していたから紹介するね、ということになりました。
思わぬ話の展開に驚きながらも、こうして私は実習先を見つけました。
実習開始 Internship
当時の学校は120時間の実習時間が卒業するため必要でした。日本人歯科医のところは、近じか引退予定だったので120時間も実習できないことが判明しました。すると、後任の先生が別のクリニックで働いているから、そこでも実習することが決まりました。私は2カ所で実習できることになりました。
私のケースはとてもラッキーだったと思います。多くの実習生は、シャドーイングと言って歯科医と助手の後についてあることで終わります。ですが、後任の先生のコネで、実習生として入ったため先輩助手がそばについて指導してくれました。
その上、日本人歯科医のところは私ひとりだけだったので、患者さんが来るたびに先生のアシストができました。
私が実際に実習先でしていたことは、患者さんを診療室へ案内し、血圧を図り、レントゲンを撮影し、先生のアシスト(簡単な虫歯の治療のアシスト)をする、ということです。
実習先を見つけるポイント
実習先を探すときは、新しく開業したばかりのクリニックが狙い目です。歯科医には患者さんがあまりいないため、実習生に目をかけてくれます。また、歯科医には経験値のある助手を採用する資金もないので、『見込みあり』と認めてもらえると採用をしてくれます。
仕事探し Job Hunting
ここでも私は恵まれていたと言えます。実習先が私の最初の勤務先になったからです。
- 日常会話の英語は話せるけど、日本語なまりがあり。
- 資格取得見込みではあるけど、実務経験がない。
こんな私でしたが、卒業前に仕事が見つかりました。学校に行くときに一番心配だったのが資格をとっても、『仕事につけるかどうか』でした。
未経験で新しい仕事を探す場合には、まず働く条件よりも働ける場所で始めるのをオススメします。始めなければ、『経験できない』ですし、経験がないから『仕事が見つからない』ということになります。
たとえパートタイムでも、第一希望のクリニックでなくても仕事を始める方が良いでしょう。
同時期のクラスメイトでも、条件を選びすぎて見つからないという人もいました。まずは、選り好みをせずに始めてみる。それが仕事を始める一歩です。
職歴 Job History
私はこの10年で5回、転職しています。全て個人経営の開業医です。そのため、健康保険や有給などの手当は基本的にはないところが多いです。転職する際に、家庭の事情、希望する勤務形態などを面接の時に話しておくと良いいでしょう。のちに、昇給の時に加味されます。
クリニック1
中国系歯科医の開業スタッフ(一般歯科)として採用してもらいました。歯科助手は私ひとり、受付に歯科医の彼女が入りました。3人だけだったので、難しい人間関係もなく楽しく仕事ができました。その上、すべての治療のアシストをさせてもらい、経験を積むことをできました。
とてもいい人たちで、当時10歳、7歳、5歳の3人の子供がいることを考慮してくれ、残業もなしでした。保育所が午後6時で終了するため、患者さんがいても5時半で上がることができました。
時給も未経験では破格の12ドルからスタートです。保育所代をカバーできるようにと配慮してくれました。ここは週3日のパートで2年ほど勤めました。
クリニック2
ここも中国系の歯科医(一般歯科)の経営でした。転職をしようと思ったのは、ほかではどんな仕事をしているのか興味が湧いたからです。また、当時は、離婚を本気で視野に入れていたのでパートではなく、フルタイムで働く必要がありました。
ここでは苦労しました。最初のクリニックとは全く反対の雰囲気。誰も従業員は会話をすることもなく、ただ仕事をするのみ。歯科医とフロント・マネジジャーは平気でスタッフを馬鹿にし、怒鳴りつけ、従業員の気持ちを何とも思っていない感じでした。
ここに転職したのは最大の理由は、『フルタイムで採用』です。ですが、わずか3ヶ月でパートに変更されました。理由は、クリニックを拡大したので、費用的に2人のフルタイムの歯科助手は無理、ということでした。歯科医とマネージャーの人柄にヘキヘキしていた私は、すぐに転職を決意。ここには6ヶ月しかいませんでした。
クリニック3
韓国系の複数の歯科医が共同で経営しているクリニックです。当時は開業してわずか4年で急成長したことで近郊の歯科医の間でもよく知られているクリニックです。
ここでは、一般歯科、子供の歯列矯正、親知らずの抜歯とインプラントの治療が行われていました。3人の歯科医に対して助手の人数が足りず、人数補強のために入りました。
転職してからわかったのですが、韓国系の人は仕事の虫です。たとえ従業員不足でも、仕事量は減らしません。つまり、人手足がなくても仕事を回さなくてはいけません。このため残業は頻繁でした。
ここで働いた最大の利点は、
- 経験のなかった矯正治療の基礎を覚えた
- 抜歯手術とインプラント手術の準備を覚えた
- 残業手当があった
また、ありがたいことに母子家庭という個人的な事情も考慮してくれました。Thanks Giving/Christmasは、長期休暇となり仕事もありません。ですが、クリニックの整理、掃除、美品の管理をする条件で私はひとりで、クリニックに来ることを認めてくれました。
最初は、時給12ドル50セントからのスタートでしたが、2年で15ドルまでにアップしました。
また、オバマケアが施行されていたので、健康保険がなかった私には特別毎月200ドルの補助を出してくれました。
収入的にはとてもよかったのですが、とにかく残業が多く仕事量も多いところでした。このままでは、体が持たないと思い次のところへ転職しました。
クリニック4
ベトナム系の歯科医の政府系の低所得者向けの保険(Medicare/Medicaid)をメインで取り扱うクリニックです。ここは過去3つのクリニックとは患者層が全く違いました。
クリニック3とは違い、歯科医は1人だけです。治療内容もクリーニング、虫歯治療、矯正治療の3つだけでとてもシンプルでした。それが魅力であったものの、前職が忙しすぎたため『もの足りなさ』を感じざる終えません。
ここのフロント・マネージャーの細かすぎる従業員管理と備品管理には、苦労しました。
- ペータータオルの使用枚数
- 一回の掃除で使う洗剤の量
- 患者さんがいないときは診療室の電気は消すなど
全てが決めれられいて、従わないとクリニックに響きわたる大きな声で怒られます。
もう一つの問題は、転職時に時給が13.50ドルまで下がりました。理由は歯科助手としての訓練が完了したいないからです。ただ、成果を出せば、すぐに15ドルまで戻ると思っていました。
ですが昇級の速度は遅く、マネージャーのネチネチした従業員管理、最新の治療は学べないという理由で1年半でまた転職をしました。
クリニック5
現在勤めているクリニックです。中国系の女性歯科医が経営して言います。今の所、転職予定はありません。理由は下記の通りです。
- 健康保険がオプションとしてある
- 1週間の有給制度がある(これは1回しか使えない)
- 歯科医が常に新しい治療を取り入れ、新しいことを学べる
- 歯科医が常に患者さんにあった治療プランを立てる
- 従業員がギスギスせず、働きやすい環境
現在時給は19ドルです。今働いているクリニックを辞める理由、転職する理由が見つかりません。そう思えるまで10年かかりました。
最後に、仕事探しをした時に、利用したサイトをご紹介しておきます。歯科医は地域に密着した仕事なので、その地域でよく使われる情報サイトを使うのがいいと思います。全国的な転職サイトでは見つけにくことが多いからです。
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