アメリカで歯科助手になって10年になります。ほぼ2年ごとに転職し、今は5カ所目の歯科院でアシスタントとして働いています。この10年で、いろいろな事を学び、色々人に出会いました。もし、歯科助手になりたいけど、どうしたらいいのかわからない人に聞いて欲しい私の経験談です。
RDA資格の取り方
アメリカでは、まず資格(ライセンス)が必要になります。テキサス州の場合はRegistered Dental Assistant (RDA)というものです。歯科医や歯科医衛生士のような国家資格ではありません。なのでテスト自体は、とても簡単で一般常識があれば専門的な知識は必要ありません。
10年働いてみてきたこと
資格がないと、経験があっても時給交渉の時に不利です。資格がないと言うだけで、足元を見られ同じ仕事でも安い時給で働くことになるので、資格を取ることをオススメします。
たまに『経験なしでもOK』という求人もありますが、経験なしでは続きません。単純な話で、専門知識と用語がないので働いていても現場の流れについていけません。
また、『経験なしでもOK』の意味は教えたら、すぐにその知識を使い仕事ができる人を探しているケースが多いです。プラスして、『経験なし』イコール『やすい人件費』ともなるので馬車馬のように働く可能性もあります。

時給アップのためにも、必ずライセンスを取得してニャ!
私の場合
私は9ヶ月ほど、高い学費を払って学校に通いました。当時は学校で6ヶ月、歯科の専門用語、歯科治療の種類、感染対策、レントゲンの取り方などを授業で学びました。最後の3ヶ月は実習をし、資格を取得して卒業となります。
理由は、実習のサポートがあったからです。アメリカにもテキサスにも親戚がいないため、アメリカ人に比べてコネがない!なので、学校でサポートしてもらい実習先を見つけたいと考えました。実習先を探すのは、アメリカ人で苦戦していました。
RDA資格の取り方の手段
- 歯科助手用のコースに行く → 期間、費用はさまさまです。
- コミュニティ・カレッジで集中コース https://www.collin.edu/ce/healthsciences/courses.html
- 職業訓練学校が経営する有料のコース https://mckinneydentalassistant.com/
- 独学で勉強する → オススメしません。挫折の可能性大きいです。
- 歯科院で働きながら資格を取る → 同僚の中に2、3人ほどいました。
歯科助手になる人は、いろいろです。私のような主婦、より良い仕事を求めて資格を取りにくる人。大半は高校を卒業したばかりの18ー20歳前後の仕事経験の少ない人が多かったです。
もし知り合いの歯科院で誘われたなら、それはチャンスです。お金をもらいながら実践で学べます。また、日本人は真面目に働くのでとても好まれます。
医療系の仕事なので、未経験で歯科助手を目指す場合、学校に行くことをお勧めします。
歯科助手に向いている人
- コミュニケーション能力がある人
- マナーのある人
- 向上心のある人
コミュニケーション能力がある人
たいていの歯科院ではフロント(受付業務)とアシスタント業務では担当する人と業務が異なります。そのため、患者さんごとに保険内容、治療方針、注意事項などをフロントとアシスタントが細かに連絡します。
また患者さんの既往症、服薬している薬の確認、患者さんがなぜ来院したのかを事前に確認して、先生に報告するのも仕事の一つです。
歯科医院では少人数で働いています。歯科医、歯科衛生士、助手のあいだでスムーズに仕事をするためには、コミュニケーション能力が必要になります。
マナーのある人
歯科助手は、歯科医、歯科衛生士、患者さんとのあいだに入り連絡するのが仕事です。そのため、助手には社会人としてのマナーと言葉使いが求められます。
患者さんによっては、歯科が苦手と感じて来院する事がストレスになっています。
明るく親しみやすい言葉使いで、社会人としてのマナーでしっかり対応できる人が求められます。
向上心のある人
歯科は医療の仕事です。そして医療は日々進歩しています。そのため、治療器具、専門用語、機械の使い方などを覚えなくては仕事になりません。専門知識を学びたいという人でないと仕事を続けることはできません。
わからなければ質問し、積極的に新しいことにチャレンジする人がやる気のある人が向いています
歯科助手に必要な心構え
清潔感とキレイな身だしなみ
歯科は医療関係の仕事です。そのため仕事中は大きなアクセサリーをつけることは避けたほうが無難です。また長い爪や髪は仕事の邪魔になります。
私は、学校で勉強中に髪は自然な色、Tattoは見えないように隠す、化粧は自然で清潔感のあるようにするよう指導されました。また、喫煙・香水はしないほうが良いです。
助手は患者さんのすぐ横に座って、治療中歯科医のアシストをします。人によってはタバコや香水が苦手な人もいます。
できれば禁煙するのが好ましいと言えます。
私の体験
マナーと身だしなみが守れない人は、仕事が続けられません。同僚の評価も得られず、患者さんからも嫌われがちです。医療系の仕事ですが、接客業の一面もあります。
周囲の人に喜ばれないと、居場所を失い、働くことができません。
反対に、これらができる人は派遣として働いていても、実習で入ったときも気に入られ『フルタイムで働きませんか?』と声をかけてもらえます。

マナーと身だしなみがないと周りから嫌われるニャ
RDAの仕事内容
- 歯科医(治療)と歯科衛生士のアシスト
- 患者さんへの問診
- チャート(電子カルテ)の入力
- 治療前と後に患者さんを誘導する
患者さんへの問診
定型の質問をするだけですが、案外むずかしいものです。特に、新規の患者さんの場合既往歴、服用している薬、来院の理由などを正確に聞き取り歯科医に伝えることが必要です。
患者さんによっては、歯科医とまず話をしたいと言って相手にしてくれない人もいます。
時として歯痛のため、虫の居所の悪い人もいます。その場合は、臨機応変に患者さんの気分を悪くしないように対応します。
私の体験
同じクリニックで勤務を継続すると、患者さんと顔に知りとなり、まるで親戚や近所の人と話しているように会話ができるようになります。
歯科医も同じスタッフを維持したいと希望しています。問診中に患者さんとの楽しくコニュニケーションを取りながら、既往歴などを聞き出しそのことを歯科医とフロントに伝えると喜ばれ評価が上がります。
歯科医と歯科衛生士へのアシスト
これが歯科助手のメインの仕事になります。この中に問診も含まれます。
まず、患者さんを診療室に案内して問診、そしてレントゲンを撮り歯科医または歯科衛生士を呼びに行きます。
虫歯治療、クラウン治療(日本でいう差し歯)、RCT治療(根管治療)、抜歯、インプラントに歯列矯正など治療は多岐にあります。
それぞれの歯科医、クリニックで治療前の準備や流れなどは多少違ってきます。が、それぞれの最初にトレーニングをしてくれるので問題はありません。
もし、覚えきれない場合はメモをする、歯科医やリード・アシスタントの許可をとって記録をすれば治療前の準備などはすぐに覚えられます。
電子チャート(カルテ)の入力も集中コースなどで基礎的な使い方を教えてくれます。インターネットやパソコンを人並みに使えるのであれば、大丈夫です。

仕事を覚えたら、次のステップまで予測して仕事しよう!
スムーズに仕事が流れて、みんなに喜ばれるニャ
もし個人で独学の場合にはDentrix https://www.dentrix.com/le/on-demand-training/がアメリカでは一番使われているソフトなので、Youtubeなどで学ぶと便利です。
治療後に患者さんのフォロー
どんな治療であれ、患者さんのその日の予約内容が終了すると歯科助手がフォローします。
- 次の予約の内容と日時を患者さんとフロントに伝えます
- 大きな治療(クラウン、根管治療、抜歯など)の後は、次の予約までに気をつけること、また患者さんからの質問に対応します。
この他にも細々したことはありますが、それはそれぞれのクリニックで指導してもらえます。
大切なことは、そのクリニックで歯科医は何を助手に求めているのか、どうすれば周りに喜ばれ好まれる助手になれるかを考えて行動できるかです。
それぞれのクリニックには歯科医の信頼を得ている先輩助手が必ず存在します。私は、その先輩に質問し行動を真似て、ここまで歯科助手として経験を積んできました。
あなたも頼られ信頼される歯科助手に一歩前進です。
コメント
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[…] 助手の仕事は歯科医と歯科衛生士のアシストです。治療室では先生と一緒に椅子に座り、サクションを持って座っているだけに見えます。これは一部にすぎません。 […]